インタビュー1 脚本・演出 本澤真綾

いよいよ公演も1ヶ月前と迫って参りました。

第1回のインタビューは、脚本・演出の本澤真綾です!

公演の中核を担う2つの役割を担当しているということで、ロングインタビューをさせてもらいました!

―― よろしくお願いします。脚本は文字通り脚本を書いているかと思うのですが、演出とはどのようなことをやっているのでしょう?

本澤 ざっくり言うと、演出は「脚本家が文字に起こしたものを、実際に人と物を使って立体的にする」ことをしています。それぞれのシーンがどう見えてほしいかを考えて役者やものを動かしていくので、同じ脚本でも演出によって見え方はまるっきり変わります。

―― 前回9月の公演「Roll Up!!」では脚本と演出を違う人が務めていましたが、今回の公演のように同じ人が脚本・演出を務めるメリットは何かありますか?

本澤 まずメリットとしては、ディスコミュニケーションが無い点が大きいです。脚本家と演出家が違う場合は両者で入念な擦り合わせをしても尚イメージに微妙なずれがある場合が往々にしてありますが、それを1人の頭の中で出来ると演出のやりたいことに忠実にやっていけます。

―― では、デメリットは?

本澤 擦り合わせが1人で出来てしまう分、独裁的にやってしまえば私の限界が作品の限界になってしまう点です。私のイメージの限界で作品の成長も止まってしまうのではつまらないので、色々な人の意見を取り入れる必要もありますが、その上で自分の軸を持たないといけないことが難しい。

―― 自分のやりたいことと、他人にどう見えるかの折り合いの付け方が難しい。

本澤 その通り。自分のイメージを達成するために皆の意見貰ったり、アイデアを活かしたり。そうしないと作品の軸がブレブレになってしまう。

―― 文字に起こす作業と具現化する作業を一緒にするのは非常に大変だと思いますが、最近の生活はどのようなものでしょう?

本澤 想像以上に大変でビックリしています。脚本を書き進めるのが遅いので、次の日に練習でやるシーンを稽古後にご飯食べながらマクドナルドで書いて、午前2時くらいまでやって、終わらなかったら翌日朝に書いて、書けたものを役者に渡してシーンの練習する、みたいな生活。

―― ちゃんと寝てます?(笑)

本澤 寝てます!と言うより、寝落ちてしまうことが多くて、寝落ちると翌日の朝絶望します(笑)ちょうど昨日の夜の話なのですが、目が疲れたと思ってホットアイマスク(蒸気で目の疲れを癒す商品)をして、気付いたら寝てました。今後使うときは立って使おうと思います(笑)

―― 体力勝負ですね。

本澤 ただ、脚本が落ち着くまではというところもあります。そういう意味では脚本を大きく変えるのはそろそろ最後なので、今が1番大変なのかも。大筋がしっかりすれば後はセリフの言い回しだったり、演出しながら役者を見ていて考えた動きだったり、細かいところが中心の改稿になりますから。

―― 演出は役者とのかかわりが1番多くなるかと思いますが、そういう面での楽しさや難しさはありますか?

本澤 楽しいのは、自分のやりたいことを言える、やってもらえる点。実際に具現化してくれるのは役者だからこそ、良い関係を築いていきたいです。そして、自分が役者をやっていた時とはまるっきり違う感覚なのですが、通し練習(注:コラム4参照)が怖いです。

―― 怖い、と言うと?

本澤 役者のときは自分がやったことを出そうって考えれば良かったんですけど、演出って何か通し中にできるわけではないので、通し練習をスタッフが見てどういう風に感じるのかな、とか。それが公演への皆のモチベーションにも関わると思いますし。ただ、最終的に本番が1番怖いんじゃないかなと思っています。

―― お客様にお披露目する。

本澤 そうですね。お客様にどう感じていただけるか、という意味で絶対にドキドキする。模試(通し練習)の成績を見続けてからの本番ということで、ちょっと受験生の親の気持ちが分かったかもしれないです(笑)

―― お客様には何を1番見せたいですか?

本澤 現代っ子へのアンチテーゼ。

―― かっこいい(笑)

本澤 かっこいいこと言おう、と(笑)現代っ子って器用で、上手く立ち回れる傾向があるように思うんです。自分もそういう面ありますが、冒険しなくて、保守的で、器用にこなして生きているような。人間関係複雑だし、世の中も厳しいし、上手く立ち回って生きていくことばっかり上手になっている気がしていて。がむしゃらに馬鹿みたいに見えても良いからぶつかっていく、みたいな姿勢がどんどんなくなっている。どんどんスマートになっている。それが嫌だなって感じて。だから、作品でそういう生き方を見せられたらという気持ちで脚本を書きましたし、演出もしています。そういう生き方を、舞台を通して見ていただいて、お客様に何かを感じていただければ嬉しいです。

―― 是非、お客様に「CHERRY」の舞台を観ていただきたいですね。ありがとうございました。